既卒者向け|社労士目線から見たホワイト企業の見分け方

フジワラ

既卒成功ナビでは、仕事・キャリア・働き方についての専門家の方に寄稿してもらう「有識者コラム」を連載しています!今回は社労士の安達先生に「ホワイト企業の本当の見極め方」について執筆していただきました。既卒で仕事探しをしている方で、ブラック企業は絶対に避けたいと考えている方はご一読ください!

社労士の安達さんにお話を伺いました

初めまして。社会保険労務士の安達です。

既卒者の方には、そもそもどのような企業に応募をすればよいのか判断基準がわからない。。もしくは判断基準をもっていない。。と考えている方も多いかと思います。

今回は社会保険労務士という”人“に関わる専門家の立場でホワイト企業をどのように見分けるか、私の主観を交えお伝えしたいと思います。

ホワイト企業とは

昨今は長時間労働や安全衛生違反による労災事故、パワハラ、モラハラ、セクハラなどの各種ハラスメント問題など、いわゆる“ブラック企業”と呼ばれる企業による事案のニュースを皆さんも多く目にすることかと思います。

これらは特に労働生産性を著しく下げる要因の一つであり、国が「働き方改革」と称して改善を試みようとしているものの一部です。

管理部門を設けられない小規模、中規模の企業では事業活動を行うにあたり、労務管理の優先度が低くなりがちなのが実情です。中には“ブラック企業”と呼ばれてしまう中小企業で、無知によるもの、若しくは人手不足ゆえそうなってしまった企業もあるかもしれません(中には企業名を公表されている悪質な“事業主”もいますが・・・)。

はたまた、いわゆる大企業と呼ばれている企業においても労使トラブルや労災事故によりニュースになっているケースも散見される世の中です。

このような現代において、事業規模に関わらず、労務管理を徹底し、従業員にとって働きやすい環境の構築に力を入れている企業も多く存在します。

今回はそのような企業をホワイト企業と定義し、どのようなポイントでそれを見分けることができるのかお伝えできればと考えます。

着目ポイントは?

ホワイト企業は労務管理や職場環境管理に力を入れています。労務管理や職場環境管理を徹底することは、コンプライアンス順守は当然として、社員を大事にし、社員の定着率を向上させるために行うことが大半です。

では、なぜ社員を大事にし、社員の定着率をあげるのか。それは、従業員の満足度があがると、それに伴い労働生産性が向上するのが通説となっているからです。この労働生産性の向上が真の目的になるわけです。

当然のことながら会社は営利目的に活動しているので、より利益を向上させるため、この労働生産性を上げることを目標に様々な人事施策を講じるわけです。大企業、中小企業に関わらずこの考えは同じです。

従いまして転職するにあたり着目すべきポイントは下記と考えます。

  • 労働時間
  • 賃金
  • 休日
  • 多様な生き方
  • 従業員教育

それぞれ解説していきます。

労働時間

これについてはどの求人票をみても必ず記載がある項目です。もちろん労基法の原則1日8時間、1週40時間以内であることは当然チェックします。

次に、この労働時間が“裁量労働制”(※)とある場合には特に要チェックです。

裁量労働制とは簡単にいうと、専門的もしくは企業の中核的な業務を担う人で、指揮命令を受けず自らを律し、業務を遂行していく立場の方に向けた制度になります。

指揮命令を受けず自らを管理して働くというのは、それなりの業務経験と自己マネジメント能力が求められます。当然、新卒者、既卒者、未経験者にはなじまない制度であるといえます。

それにも拘わらず、新卒者、既卒者もしくは未経験者に対してもこの裁量労働制を適用させていることが見受けられるケースがあります。特にIT業界に多いと感じます。これは要注意です。

裁量労働制と記載がある場合には、何時間のみなし労働時間としているのか、対象の業務、業種、対象者はどのようなものかをよく確認することをお勧めします。

(※)厚生労働省公式ページ:裁量労働制とは

賃金

賃金については、もちろん多いにこしたことはありません。但し、筆者の主観ですが、あまり初任給にはとらわれる必要はないと思います。初任給が高くても賃金制度が上手く運用されておらず、なかなか昇給しないといったケースや、反対に初任給が低くても昇給する制度が従業員に馴染めば当初想定していたよりも昇給が望めるといったこともあり得るからです。

ここで注視していただきたいのは、「固定残業代」と記載がある場合です。

名称は固定残業代、みなし残業代、裁量手当など様々です。要は、この固定残業代の範囲であれば残業しても追加で残業代は支払わないよ、という制度です。

もちろん合法的なものになりますが、確認していただきたいのは、この固定残業代が何時間分であるのか、どのように計算されてその金額になっているか、その根拠です。この根拠が不記載、不明瞭な場合、もしくはその残業時間が長時間になっている場合(80時間分など)には要注意です。

現に、厚生労働省から固定残業代の表示について通達がでており、ホワイト企業では遵守しているはずです。

また、時給の求人に応募する場合には、最低賃金にも要注意です。最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金があります。多く耳にする最低賃金は地域別の最低賃金で毎年変わっています。

特定最低賃金とは、特定の産業又は職業について設定される最低賃金になります。この両者の最低賃金をクリアした金額になっているかの確認が必要です。

ホワイト企業はもちろん両者の最低賃金をクリアしており、また最低賃金ギリギリということも少ないかと思います。

休日

休日も多いにこしたことはありませんね。労働基準法の原則では、毎週1日以上の休日が確保されていれば問題はありません。昨今では週休2日の企業が多いと感じています。

ここで、週休2日なのか完全週休2日なのかは要チェックです。週休2日制とは、「1年を通して月に1回以上2日の休みのある週があり、その他の週は1日以上の休みである」というものです。これに対し完全週休2日制は、「1年を通して、毎週2日の休みがある」というものです。

完全週休2日制の企業を前提として就職先を探している場合には、微妙な文言ですが要チェックです。

また正確には休日ではなく“休暇”にはなりますが、有給の取得率も一つのチェックポイントです。有給取得率が高く自信がある会社は、これを求人票に記載しているところが多く、取得率が多いということは、休みをとってもそれをフォロー可能な運営体制が整えられているということが推察できます。

もちろん今現在は、原則1年で5日の取得の義務がありますので、それを踏まえた上での取得率をチェックします。

多様な働き方

まさに今国が推し進めようとしているものです。

様々なものがありますが、例を挙げると、「在宅勤務制度」、「勤務間インターバル制度」、「短時間勤務制度」、「副業の許可」、「週休3日制度」などがメジャーなものです。

大企業でこのような働き方を取り入れているというニュースを皆さんも耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。

こういった制度を採り入れ、実際に運用をしている会社は、法令順守プラスαの取り組みをしていることになるので、各種人事施策に力を入れていると判断できます。

東京都については、このような取り組みを行っている企業に対し助成金も交付しています。働き方改革に取り組んでいて、働き方改革宣言を行っている企業は公表されています。どのような制度が今の時代にあるのか把握するのも一つ勉強になるのでお勧めです

※参考 東京都産業労働局

従業員教育

各従業員の成長は、会社の成長といえます。人はどのようなときに成長し、満足感を得るのでしょうか。

皆さんご存じ、マズローの欲求5段解説では、①生理的欲求②安全欲求③社会的欲求④承認欲求⑤自己実現欲があるとされています。

①~③は、現代日本において社会人であればある程度満たされているものかと思います。従業員教育で何が望めるかというと、④と⑤を誘発させる起爆剤とすることです。

ビジネスで必要な知識や能力を教育制度により向上させ、他者から認められるようになり、そうなって初めて自分の能力を引き出し創造的な力を発揮できるようになります。それが従業員の満足にもつながり、定着率の向上となり、企業発展につながるという考えを持っているわけです。

教育制度に力を入れている企業は、求人票に記載があるので要チェックです。

記載がない場合にはどのような制度があるのか、事前に確認を取っておくのを推奨します。

<より信頼度UP> 各種認定マークについて

厚生労働省では、様々な取り組みを行い、各基準を満たした企業に対し、認定マークを付与しています。この厚生労働大臣が定める認定マークを受けた企業は名刺や商品などに付することができ、会社信用度のアピールなるわけです。

そのため既卒者の方も求人を探している際、このようなマークの記載があれば、より積極的な各種取り組みを行っている企業ということになりますので、一つの判断材料になると思います。

また、各種厚生労働省のホームページには、認定を受けた企業は公表されていますので、一読してみては如何でしょうか。

(1)くるみん・プラチナくるみんマーク

子育て世代を積極的にサポートし、一定基準を満たした企業が認定されます。

(2)ユースエール認定

若者の採用・育成に積極的な取り組みを実施し、一定基準を満たした企業が認定されます。

(3)えるぼし認定

女性の活躍推進に対し様々な取り組みを実施し、一定基準を満たした企業が認定されます。

(4)トモニンマーク

仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組み介護離職防止に力を入れている、一定基準を満たした企業が認定されます。

(5)ホワイトマーク

労働安全衛生に関して積極的な取組を行っていて、一定基準を満たした企業が認定されます。

<ここだけは要注意>ブラック認定企業について

下記のような事案があった企業は企業名を公表されているケースがあります。

違法な長時間労働
過労死等・過労自殺等で労災支給決定
上記と同程度に重大、悪質と認められるもの

この企業名は過去1年間にわたり公表されます。

念のため応募する企業がこの公表にふくまれていないか確認するのが無難であると思います。

参考:厚生労働省令和9月30日記載分

最後に

ホワイト企業の見分け方について主観を交えて伝えましたが、いかがでしたでしょうか。

最終的には、ホワイト企業かどうかはあなた自身の考えや、資質に依存することが大きいと思います。

従いまして、自分がどういう人間でどのような事をやりたくて、どのようなものを大事にするのか、といった自己分析が非常に重要ですのでまずはそれを固めて下さい。

そのうえで今回お伝えしたような内容に留意しながら、就職活動を行うことで、ブレのない、芯のある活動ができるものと考えています。

本記事が皆様の就職活動に少しでもお役に立てることを祈っております。